中国ウォッチング『善隣』2004年7月号(上松玲子訳)


危険ドライバー養成所

上海市交通警察の統計によると、ぺーパードライバーによる事故が増加しており、 全事故の三分の一を占めるという。一部もぐりの自動車学校では、一期の生徒にかける ガソリン費用を教官一人あたり二千元に限っている。生徒一名が教習所内、路上合わせて 六百数キロしか乗れない計算だ。劉さんはそのような教習所の被害者の一人。駐車教習、 古い車を八人の生徒が交代で使わされ、一晩で実際乗車できたのは三十分のみだが、三日 通って駐車は合格。その後さんざん待って路上教習を四回しただけで、試験に臨んでよい と教官に言われた。正規の教習所では七十二時問以上の教習が行われている。生徒を装って 無許可の教習所に「三日で試験に行って良いか」と相談すると、「そちらが良いなら」と いう返事だ。多くの教習所では定められた定員を越えて生徒を集めている。そのため同 じ時問に生徒が集中すると教習時問の変更も頻繁なのだという。(『上海法治報』2004年5月7日)


職業病で苦しむ農民

二〇〇三年河北省保定市の職業病予防治療所が管轄下の二十二の県、市の農民の職業病 実態について調査したところ、保定市には五万人の農民が職業病で苦しんでいるという深刻な 状況が明らかになった。四川省の農民、羅応国さんは河北省満城県の採石場で二年余り働いた頃、 粉塵により二級の塵肺病と診断された。いつも胸が重く痛む。「まだ二十八歳なのにこれから どうしたらいいんだ。親方は三千元の補償金をくれたが、一年の医療費だけで五、六千元もかかる。」 河北省の安新県の農民、王大楽さんは自営でアルミニウムの加工業をしている。一九九六年から 一九九九年の四年問、自宅でアルミニウムチップを篩ってローラーで挽き、溶解加工していた。 これが原因で自分だけでなく、妻も子も慢性砒化水素中毒になった。以来五年間患ったまま、 三人分の薬代のため家計は苦しい。河北省邯鄲市の農民、馬金鳳さんは養鶏業を営む。鶏糞から かいせんを患い、命には関わらないが、耐えられないほどの痒みに悩んでいる。県級の医療機関に 長く従事した医師は、農民の職業病の現状はこの数年で変化していると指摘する。多くの病院が病気 の原因が長い期問暗く湿った、有毒有害な環境の中で病気になっていることに気が付いているが、 病院も財力がないために十分な援助ができないのだという。(『新華毎日電訊』2004年5月11日)


出生率の不均衡

統計によれば、我国の人口構成はすでに低出生率、低死亡率、低成長率の段階に入り、 二〇〇三年の総人口は十二億九千二百七十七万人で、世界の総人口の二一%を占める。注目すべきは、 の現象が「二つの不均衡」の下に起きているということだ。一つは農村と都市部での出生率の不均衡、 二つには、東部の発展した地区と西部の発展の遅れた地区の出生率の不均衡である。発展の遅れた地区 で生まれた人たちは良質の教育を受けることが難しく、これは全国的な教育水準の向上を妨げる。 遅れた地方ほど人口増加が速く、貧しいほど産み、産むほどに貧しくなるという悪循環に陥りがちである。 このことは国が全面的に協調して、持続的に推し進めようとしている科学的発展を阻害する。都市部での 人口増加率の低下、ひいてはマイナス成長の出現は、我国の社会保障体系により厳しい環境を作るだけでなく、 老人扶養などの問題を日に日に顕著にしている。低出生率により、社会全体のレベルの向上が妨げられない ように、問題点を見極めて人口政策転換の根拠とすべきだと、有識者は指摘する。(『羊城晩報』2004年5月24日)


故宮の大改修は職人探しから

社会の注目を浴びている故宮の大改修工事には二つの大原則がある。原状の回復と現状の維持である。 しかし外部の修復作業と内部の復元作業を行うに当たり、当時盛んだった技術が失われていることが作業を 難しくしている。中でも倦勤[文而]の改修は複雑な工事である。倦勤[文而]は故宮の中でも最も豪華で高い 技術によって作られた建築物である。これらの建物を改修するため、昨年古代建築専門家からなる探索グループ が結成された。作られた当時の建築材料や伝統技術を全国に探すことが仕事である。故宮文物保護科学技術部 の曹静楼主任によれば、「探索作業は大変に骨が折れる。歴史文献から材料の産地や職人の氏名を調べ、 一つ一つの省を探すのだ。」という。倦勤[文而]についても専門家が四川省、浙江省、湖南省、江蘇省など の省を訪ね歩きやっと浙江省東陽と四川省江安で技術を引き継いでいた老匠を探し当てたのだという。 (『京華時報』2004年5月26日)


准河の汚染対策十年の効果は

安徽省から高速道路を車で河南省に向かう時、沙穎河橋を渡ると悪臭がひどくなる。准河の一級支流で ある沙穎河は水の色が醤油のようで、蝿や蚊が耐えない、沿岸の農民は言う。十数年前は河の水は飲めたし、 作物を洗うことができた.それが上流に旨味調味料の工場や製紙工場ができて以来、どんどんひどくなった。 准河の沿岸地域を取材して、唯一河南省信陽地区が「金山銀山もほしいが、緑水青山はもっと必要だ。」と いうスローガンを持っていた。だが、関係官僚に話をきくうちに、実際は「金山銀山」の誘惑の方が強いの だということがわかった。各地の経済発展を見るにつけ、環境保安局の幹部さえ信陽城に煙突が立ち並び、 機械の音が響く繁栄の姿を望んでいる。[シ累]河では「地域の基幹産業を守ろう」という意識が市民に浸透 している。街角で取材すると、市民たちが双匯集団の工場廃水の垂れ流しを擁護する発言をする。安徽省 蛙埠市はもう飲む水もない、という状況なのに、最も水を使い、廃水を流す豊原集団は市の重点発展企業なのだ。 数十の県や市、郷鎮を取材したが、官僚は基幹産業のために奔走するばかりで、環境保護や掛け声だけは最大 だが実際は後回しだ。准河の汚染は再び悪化している。十数年来汚染対策をして国、地方、多くの企業がその ために六百数億元もの巨額の資金を投じているというのに、資金は水に流れてしまったのだろうか、と一部の 専門家や市民は疑問を抱いている。(『人民政協報』2004年5月31日)


秘境、濾沽湖の災難

雲南省の濾沽湖は自然の生態系が最も良く保たれた地域であった。かつて湖水の透明度は一級で、 九メートルまで見えた。しかし今では観光客の残したゴミが渓流に溜まり、汚水が湖に流れ込んでいる。 住民の摩梭人は、生活廃水や煙の排出に大変気を使ってきた。主要な居住区には煙突一本も見当たらない。 『濾沽湖風景区保護条例』により排気は厳格に禁止されているからだ。しかし、「達巴大酒店」の大きな 煙突からはもうもうと煙が出ている。経営者の徐賞芝はというと、濾沽湖旅遊管理委員会副主任である 曹開華の妻というわけだ。このホテルの建築面積は八百二十平方メートルで、湖からわずか八十メートル の場所にある。前述の『保護条例』によれば、このような建物は市と地区と州が協議の上、始めて建築 許可証が下りることとなっている。曹開華の言い分は、この一帯の宿は何処も、例えば同ホテルの向側にある 「興林酒店」も許可は取っていない、という。興林酒店の経営者、和寧生は濾沽湖白然保護区管理局の副局長だ。 濾沽湖から三百メートル足らずの場所にある「摩梭山荘」は建築許可を受けていないばかりか、営業許可証も 持っていない。責任者の楊二車は元旅遊管理委員会の役人で、今は県の役人だという。達巴大酒店の中にある 「按摩保健センター」の女性は記者に「通い婚」と呼ばれる特別な入浴サービスがあることを教えてくれた。 濾沽湖の摩梭人社会は我が国唯一現存する母系社会で、通い婚の伝統を今も受け継いでいる。村人は、自分たち の風習は家族としての感情が基礎になって成り立っているもので、平和で文化的な少数民族の伝統であると言う。 それを金儲けに利用して観光客の金を巻き上げている人たちがいるのである。(『新京報』2004年6月6日)

      
      


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