受験スキャンダルは氷山の一角
中央テレビ局の特集番組で報道された北京航空航天大学の地方連絡員
による不正事件で、同大学の校長と中国科学院の李未が遺憾の意を表す
と共に、報道内容が特殊な例であることを望むというコメントを出し
た。これは学生募集連絡員として広西壮族白治区へ赴いた者が、合格者
に対し、合格適知と引き換えに10万元という手数料を要求、受け取り後
逮捕されたというものだ。
残念ながらこの事件は特殊なことではなく、氷山の一角である。記者が
偶然豪華なホテル内の喫茶店で有名大学の校友会の責任者と会い聴いた
話だ。「定向生」(卒業後地元に戻り就職することが条件の学生)の
募集作業は早くから、同窓会の関係を通じ行われる。募集人数の決定に
は卒業後の受入先でもあり、人材養成の要請元である人事権のある機関
との取決めが前提であるが、実際は偽の取決めであり、省別の人数も
利益配分が考慮される。募集要項が公表される段階では、すでに同窓会
の主要メンバーの間で学生を選ぶ権利が山分けされており、公募とは
いえない。
入試ラインの発表があると彼らが普通受験生よりも点数が20点低い
学生から選定し、願書と二、三万元の賛助金を大学に送るという仕組み
だ。もとは困難な地域や企業、国防や軍事機関のための人材育成を目的
にした制度が、大学の資金集めの道具となり、党の機関紙に広告が載り、
ホテルで相談会(実は金集めの会)が開かれる。
この外「少数民族予科」や「スポーツ特待生」「特技生」「補欠」等の
特別枠があるが、航空航天大学の事件はこの特別枠で起きた。教育部は
再三再四特別枠の学生からの費用徴収を禁止する通達を出してきたが、
実際は大学自体が高額の費用を取っている。特別枠は定向生よりもさら
に狭き門である故に、親に強力なコネと相当の経済力が必要とされる。
多くの省が外省の有名大学に地元の学生を入れたいと願い、有名大学
の特別枠の合格ラインを一般大学合格ラインと同等と規定している。有
名大学に一般学生よりも四、五十点から七、八十点も低い点数で入れる
と思えば、五、六万や十数万元出しても良いと思う親はいるだろう。
近年ある省では受験生総数に占める少数民族の割合が年々高くなって
いる。その比率は人口比率をはるかに上回る。これは少数民族予科生の
合格ラインが一般の学生よりも百点も下であるためだということはいう
までもない。点が低ければなんとかその枠でと思うのである。
9月に行われ注目を集めない補欠入学者選定にもやはり内幕がある。
現在の大学受験制度の透明性は今一つであり、不公平な現象も多い。
特に詐欺行為に大学や教育部門の関係者が関わっていることが事件を
よりスキャンダラスにしている。
(『中国青年報』2004年8月16日)
許容と戸惑いの狭間で
中国には4000万人の同性愛者がいると識者は見ている。
奇抜な服装をしていなくとも、奇妙な話し方をしなくても、身近で気
の付く人にはわかってしまう。ある会社でネットワーク設計の仕事をし
ているPawPawは「両親は早くから気付いていたが、僕を理解してくれた。
母に『あなたがどんな人でも、良い人であればいいのよ』と言われたことが
あり、おかげでずっと平然としてこられた。」と語った。
彼は小さい頃から男の子と一緒にいたがった。女の子には全く興味を
持たなかった。
関連調査では同性愛者は社会の各層に存在し、性の傾向が他の人と異
なるだけで、他の面は一般の人と何の変わりもない。しかし別の問題と
して、国のエイズ諮問専門委員会のメンバーでもある張北川教授は、
「4000万の同性愛者のうち八割が伝統や社会の圧力の中、普通の結婚を
余儀なくされている、この事による社会問題は軽視できない」と指摘する。
32歳のある同性愛者の男性は両親に結婚を迫られている。「いっ
そ女性の同性愛者を妻にしてもいいだろうか。」と張教授に相談してき
たという。「それは不道徳な選択で、社会にも家庭にも無責任なことだか
ら慎重に考えるように。」と答えたが、事実多くの同性愛者が形だけの
結婚を選択しようとしているという。
(『文匯報』2004年8月18日)
電カ不足の後遺症
国家統計局の情報から、電力不足は操業停止やコストの増加のみなら
ず、我国の経済発展に数々の後遺症を残したことが明らかになった。
鉄道、道路、水上交通全てが発電用石炭の輸送に力を入れたことで、
その他の物資の輸送が困難となったばかりか、輸送費も高騰した。鉄道
輸送の逼迫が輸入鉄鉱石の内陸への陸上輸送の障害になった。そのため
港湾には鉄鉱石が山積みとなった。
電力需要をまかなうために、各石炭産出省は石炭採掘量を増やした。
その結果一部の地区では資源の枯渇現象が起きている。
山東省では過度の採掘で省に属する炭鉱の採掘可能な量は40億トン
になり、十数年後には深刻な原炭不足になるといわれている。安徽省の
石炭生産は2002年から急速に延び、准河北部地帯の炭鉱の採掘可能
な期限は国家の規定を下回るようになった。
石炭は市場の新しい目玉となり、価格も高騰した。その結果そこで売
買の度に利食いで儲ける者が続出した。地方政府は各種費用を徴収する
ことに躍起になり、その費用も高く、輸送手段を独占するなど一連の問題
が、石炭生産企業が地場の石炭を販売し、外地への輸送する上で正常な
活動ができなくなっている。
(『新華毎日電訊』2004年9月1日)
猛暑の軍事訓練
この夏の猛暑の中行われた軍事訓練で、上海と雲南省昭通市塩津県で
若い命が失われた。
塩津県郵政局に勤める周汝軍さんは幸せな三人家族。8月14日13時15分、
彼の息子周禹は六日間重度の昏睡で人工呼吸器に繋がれた末
息を引き取った。この日41歳の誕生日を迎えた母は泣き崩れた。
18歳の周禹は塩津一高の一年生。8月8日軍事訓練の最終日は実
弾射撃訓練だった。射撃後の射的補修の任務のため、塹壕に隠れていた
時、石に跳ね返った実弾に頭蓋骨を砕かれた。
本来部隊員3名と生徒3名があたるべき作業に、生徒5名をあたらせ
たことから、17日、事故調査グループは事故を過失と認定した。
7月21日は、高温警報の中、軍事訓練に参加していた上海中国医学
薬学大学中国薬剤学科2003年度入学生朱薇は、上海仁済東医院救急
診療科に運ばれたが、既に死亡していた。死因は「突然死」。他にも36名
が熱中症で同じ病院に運ばれた。
世論では軍事訓練の意義を問う声が上がった。だが、軍事訓練は実践
的な国防教育であり、法律に基づいた兵役義務である。高校生および大
学生の軍事訓練は1955年7月発布の第一次兵役法で法律に盛り込ま
れ、1984年の新兵役法でも独立した章で規定されている。生命を尊
ぶあまり、世論ではこうした概念が曖昧になっている。
現在中国では500余の大学、約3000の高校で軍事訓練が実施され、
今年の夏も197万人の大学生と651万人の高校生が参加している。
2005年も全ての一般大学と高校で軍事訓練が実施されるという
原則は変わらない。
国防は全ての人の責任である以上、軍事訓練は必須だ。事故は残念
だが、軍事訓練制度が悪いのではない。取材の中で最近の軍事教育は、
組織機構は健全だが内容は形式に流れていると感じた。大学に国防教育の
専門課程はなく、軍で宣伝活動や組織活動をする者が登用され、国防教
育にあたる。中国国防科学技術大学にも国防教育の専門家はいない。
新聞社に勤め、「八一解放軍健軍記念日国防知識コンテスト」に答え
60元の奨金をもらった厳さんは、「職場で配られる練習問題に適当に
答えただけよ」と言う。毎月上海の党員学校で半日講師を務める方敏さ
んは、上海公務員の国防教育といえば、一日兵営活動で、午前中は報告
を聴き、午後は射撃訓練というのが長年の決まりだという。方さんによ
れば先進国の国防教育は政治、軍事、民間防衛、経済、技術、心理、外交、
精神と多岐に渉り様々な意識を高めており、その点中国は遅れていると
いう。
酷暑の中の軍事訓練の痛みは、国防教育の強化の必要性と課題の多さ
を気付かせてくれたのである。
(『瞭望東方週刊』2004年35期9月2日)

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