中国ウォッチング『善隣』2004年11月号(上松玲子訳)


運転手の過酷な労働

先日北京のタクシーが客を乗せて走行中、運転手が東三環路の東風陸橋の下で過労により突然死した。 タクシー運転手の呉さんが記者に彼の毎日の労働実態を語ってくれた。朝10時に車を出してから13時 間、300キロ走る。売上は305元、そこから車代として186元、ガソリン代80元をひけば、 実質の利益は39元だ。 北京で登録されているタクシー運転手は20数万人、平均労働時間は14時間、毎月427時間働く。 これは法定労働時間の252時間を168時間も超過している。北方タクシー公司の楊さんは、 「車代は高いし、白タクは横行する。長時間働かなくちゃ利益もでないよ。」とやり切れなさそうに語る。 調査では多くのタクシー運転手が「車代」に不満を持っているようだ。 (『工人日報』2004年9月12日)


通学も大変

北京海淀区の趙富蓮さんの子供は西城区の北京第二実権小学校に合格した。これは容易なことではない。 しかし、今度は送迎に頭を痛めている。結局近所の同窓生と協力し三人の保護者が交替で送迎している。 現在通学バスを出すのはほとんどが私立学校だ。公立学校は何故通学バスを持たないのだろうか。 「保護者が簡単だと思うことでも学校には難しいということはある。」と北京第二実験小学校の李烈校長は 言う。「国は政策上学校の選択を容認していないが、学校を選びたいという声は増大している。学校が通学 バスを出すことは学校の選択を奨励することになってしまう。」という。同時に李校長は「責任問題の発生が 心配だ。学校が通学バスを運営したら、それは民間か国営か。問題が発生したら保護者にどう説明するのか。 バス会社と話をしたら仲介人にリベートが支払われるかもしれない。」と率直に語った。通学バスの運営は 国の責任でやってほしいという考えだ。 (『経済参考報』2004年9月14日)


若年喫煙者対策は

最も早い者で7歳から喫煙を始め、喫煙のピークは13歳から15歳。これは9月15日深?北大病院 の取材で知ったことだ。深セン宝安の某中学校では一つのクラスに喫煙者が11人もいるという。タバコは 生徒の健康な心身を直接蝕んでいる。 好奇心のみでなく、仲間意識や模倣心理が生徒の喫煙に深く関係している。親が喫煙する場合子供の喫煙 率も高い。 蓮花北の某学校付近の雑貨店で、女性店主に中学生がタバコを買いに来るか訊いた。店主は驚いた様子で 「ある」と答えた。未成年にタバコを売ることは法に触れることを知っているかと訊ねると、知っているが 商売だから客が買いたいといえば拒めない、という。 店の入口で三人の生徒が譲り合ってタバコに火を着けたのを見かけ声を掛けた。暉くんは200メートル ほど先の高校の二年生だという。「どのくらいから吸っているのか?」「一年くらいかな。」「どのくらい 吸う?」「だいたい一日一箱。」「両親は知っているの?」「知っている。どうしようもないから、あまり 吸うんじゃないと一言うくらい。200元もらっているよ。」「学校に知られたらどうなる?」「退学じゃ ないかな。」「どうしてタバコを?」「いらいらした時や憂欝な時に吸うんだ。」「成績はどう?」 「すごく良いというわけじゃない。」 深セン北大病院予防保健科の責任者、葉郁輝さんは、生徒の喫煙問題は早急に対処すべきで問題であり、 これは医療関係者のみならず学校や家庭、杜会の責任であると述べている。 (『深セン法制報』2004年9月16日)


養老院の看護員に不満

天津市の60歳以上の人口は120万人で全市人口の12%を占める。近年民営の養老機構も141 件まで増えた。しかし2228人の従業員のうち47.3%が簡単な研修を受けただけだ。河東区の 女医王旭冬さんは、ある民営養老院にボランティアで診察に行くたび、老人たちから看護員のレベル が低く、サービスが悪いとこぼされるという。 労働社会保障部の規定では養老院で看護員として従事するには証明書が必要となっている。しかし実情 はきつい労働のわりには月給は500元以下で、定着する人は少ない。従業員の大半が四、五十代の 早期退職者である。また多くの民営養老院では人手が足りない時、地方労働者を直接雇い入れている。 彼らは1人で平均6人の老人の世話をし、12時間も働いているという。 (『工人日報』2004年9月19日)


骨髄移植に二の足

「必要が生じれば無償で造血幹細胞を患者に提供し、患者の命を救います」これは骨髄バンク登録者が 署名する誓約書だ。 しかし重慶市では今年の4月以来、患者と型が一致した18名の登録者のうち5人が、いざいという時 になって提供を拒否している。 検査機関は志願者1人当り500元の検査料を負担している。2割が拒否するとしたら10万人の登録者 のうち2万人分の検査料1000万が無駄になっていることになる。 この夏、ある志願者が両親の反対に会い、提供を断念した。この時すでに患者の血液サンプルは深?に送 られ、同時に患者、志願者の検査費9600元も患者から支払われていた。直前の拒否は患者とその家族に 精神的にも経済的にも大打撃だった。 市の赤十字の関係者と拒否する志願者の類型を分析してみた。 ある志願者は初期の適合検査が通った後、体重が50キロしかないので提供できないと言った。これは 怖くなったというケースである。両親の反対にあったというケースもある。有償を望む人もいる。救って あげるのだから経済的保障をしてほしい、というのだ。他にも被提供者が道徳的に程度が低いのであれば、 その人に提供したくないという者もいる。 (『新民晩報』2004年9月18日)


学校が児童労働を手配

江西省の一部の民間中等専門学校や職業学校では、働きながら学べ、学費は不要という名目で農村の中学 卒業生を集め、16歳未満の児童を沿岸地域に送り労働させている。 張麗の家は人里離れた農村。宣春の中等専門学校の「夏休みに学校が月収600元から700元の仕事を 紹介、学費に充てられる。」という条件に惹かれ入学した。7月、40人の同級生と共に深センの電子部品 工場で働くことになった。毎日8時間の正規労働の他に12時まで及ぶ残業は日常であった。同級生たちは 皆親に泣きながら電話をかけて家に帰りたい、我慢できないと訴えた。張麗の同級生は皆15歳前後、 最年少は13歳だ。宣春の某学校では出発前に生徒を集め、全員に「検査に通るよう、白分は16歳生言うこと。」 と説明した。一部の違法な業者は学校から安価な労働力を仕入れることで労働力不足を解消している。この ような違法行為は全国的に広がっている。 (『経済日報』2004年9月24日)


薬物運び屋村の変化

班老村雲南省臨滄永徳県にあり、ミャンマーとの国境沿いにある。2002年までは平均年収300元、 トウモロコシも満足に食べられない。麻薬密売者のために運び屋をすれば数百から1000元以上も 稼げるとあって、多くの村人が切羽詰って運び屋に手を出した。人口わずか3000人の班老村で、 実に90人が麻薬密売容疑で逮捕されている。 公安部門の統計では全国で摘発される麻薬の一割が臨滄から、その半分が永徳県から来ているという。 この5年間、現地で逮捕された麻薬密売人の85%が班老村の村民だ。貧困が主な原因であると認識した 現地政府は経済的手段により村の脱貧困化を図ることを始めた。 崩龍寨村の沙開相さんは山間の12ムーの土地に以前はトウモロコシばかりを栽培し、当時の1ムー 当たりの収入は400元であった。昨年から政府の援助でサトウキビ栽培に切り替えたところ、1ムー 当たりの収入が700元になった。「暮らしも上向きになったから、この一、二年は誰も薬を運びに 行かないよ」という。 班老村党支部書記の李徳仁によれば、班老村の14の自然村のうち6村は地方経済の発展により平均年収 も300元から600元になり、運び屋の歴史は幕を閉じたという。 (『新民晩報』2004年9月22日)


    


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