中国ウォッチング『善隣』2005年2月号(上松玲子訳)


留守少年の犯罪は誰のせい

三少年のうち、最年長が十七歳、最年少が十四歳。しかし、それぞれ 九年、八年、一年の日々を鉄格子の中で過ごすことになる。湖北省大冶 市で行われた公開裁判で全国を震憾させた大冶羅橋高校強盗事件の犯人 に判決が下った。犯人の少年の両親はいずれも都会で働き、彼らは故郷 に残された『留守少年』であった。近所の人はまだあどけなさの残る彼 らが刃物を手に五十三名の寄宿生を襲ったなど、今でも信じられないと いう。 鉄格子の向こうの息子、小胡の目に浮かぶ恐れと絶望は父親を苦しま せた。十六歳の小胡は八年の刑が確定。四十八歳の父は、「息子は悪い 人問ではない。ここ数年私は外の仕事にかまけ彼と関わる時問がなかっ た。」青白い顔で繰り返した。父親は上海で建築工として働き、病弱な 母は白宅で農業に従事。「中学一年で退学したのは、経済的な苦しさに加え、 自分も勉強が好きでなかったから」と小胡白身。 事件前日の昼、胡少年は町をうろつき同姓の少年と出会った。二人と も無一文。もう一人の胡少年を誘い学校で今晩稼ごうと決めた。学校で 年長の生徒たちに無理やり金品を献上させられたことを思い出し、躊躇 はなかった。小胡の家は大冶市の山林にある。村長は記者に対し、村に は学校に行っていない学齢期の子供が少なくとも五十人はいると語った。 村には図書室もなく、文化的な場所は何もない。小胡同様社会に早く踏み 出した子供らは、毎日遊び回っていて、地雷のようにいつ爆発するかわか らない、とも。 武漢大学社会学教授、周運氏は、親身な教育も関心も受けなければ、 子供たちの健全な人格形成は難しいと語った。こんな状況では犯罪の芽 が心の奥で育つのもやむなしという。 (『解放日報』2004年11月24日)


昔は黄金道、今は

天津の某企業の運転手、李明さんは、天津と北京を毎週平均二往復し ているが、京津塘高速道路について「数年前は天津宜興埠口から北京ま で八十数キロの道を四十分で走れたが、今では空いている時でも一時間 はかかる。」と語る。 当局の交通量に関する分析では、時速百二十キロで設計された京津塘 高速道路が今では平均時速六十キロ以下の時間帯が毎日平均6時間はあ るという。昔日の『黄金道』はなぜこのようになってしまったのか。 経営管理母体の華北高速道路公司の董平如総経理は、京津塘高速道路 は当時の国家基準に厳密に沿って設計されたという。上下四車線の道幅 は二十六メートル、緊急停車車線は二・五メートルだ。が、現行の国家 高速道路建設技術標準は四車線ならば二十八メートル、緊急停車用車線 は片側三・五メートルである。十六年前に建設された道路を現在の基準 で非難できないが、京津塘高速道路が本来抱えた欠附は否定できない。 天津市交通管理局高速道路支隊の統計では、緊急車線に停車中の車輌 に気づかずに後続の車が引起す事故が、事故全体の40%という。支隊長の 趙仁義氏は「一般の大型車の車幅は二・五メートル、緊急停車時に 走行車線に若干はみ出てしまう。緊急車線がもう少し広いか、小型車が 多ければ事故は少ないと思う。しかし京津塘高速道路は大型車輌が40%、 午後十時以降は90%にもなる。道幅の狭さの影響は益々深刻化している。」 と語る。また京津塘高速道路の走行量はピーク時には十二万台にも上るという。 北京、天津の交通管理部門は相継ぎ緊急措置を打ち出している。 (『人民法院報』2004年12月7日)


何か変だ中国映画界

2003年、中国映画館の総売上は十億元、そのうち国産映画の売上が 五億元であった。鑑賞券一枚十元として、のべ五千万人が国産映画を 見た計算だが、人口十三億では、一人当り年間0.04回しか国産映画を 見ていないということになる。 十年も前から中国映画は全体として題材が旧い、造りが粗い、物語の 展開も型通り、教条的な内容だと言われてきた。米国の大作映画が中国に 進出すると、配給会社が1円の広告費を使わなくても、多くのメディアが 完壁な普及活動をしてくれた。同時に国内の映画会社は自身を失い、 国内映画の商業価値の発掘や市場の開発を怠った結果、長くされるのは 大半が外国映画で、毎年出される国産映画百編のうち僅か二、三十編のみが ロードショーされるだけ。長く上映されるのは十編程度だ。だが、『美麗上海』 や『茉莉花開』(邦題:ジャスミンの花開く)のように芸術的価値の高い作品 には潜在市場がある。『那山那人那狗』(邦題:山の郵便配達)の日本での ヒットや『暖春』の国内での大ヒットを見れば全て国産映画に商業価値がない わけではない。 DVDやビデオの発売は海外では映画上映後一年を経過してからが常だ。 しかし中国国内では、上映とほぼ同時に正規のDVDが発売される。海賊 版に市場を先取りされないためだ。 『臥虎藏龍』(グリーン・ディスティニー)が米国アカデミー賞でオス カーを受賞したこと(実際は最優秀外国映画賞ノミネート、最優秀作曲 賞受賞:訳者註)で、中国映画のグローバル化を叫び、大きな題材で 国際路線を歩もうという人もいる。 そして、多くの所謂「大作」が次々と作られている。しかし真の意味で 国際的業績を上げた作品があるだろうか。闇雲にハリウッドを真似て 刺激的な映像と音楽ばかりを誇張し、ストーリー展開の魅力や感情表 現に欠けるものになっていないだろうか。そこでは一億元だ、三千万ド ルだの大金をつぎ込み、限られた市場の強奪戦が繰り広げられている。 (『文芸報』2004年12月11日)


2004年高収益な10の業界

今日まで中国の不動産業ほど暴利を上げた業界はなかろう。中国の長 者百人に名を連ねた不動産業主は2002年が25人、2003年が35人、2004年には 45人だ。建物の取引の利益率が15%から30%、土地取引の利益率は150%から 300%となっている。 2004年は石炭、電力、石油、輸送が未曾有の供給不足で、輸送費は上昇一方 であった。一部の高速道路料金所職員の月給が八、九千元で国家公務員最高級 の額を超えたと中央テレビ局は伝えた。 葬祭社の利潤は驚きだ。骨箱の値段は最低でも400元、高いものは2万元に もなる。一番安い物の原価は僅か数十元で、利益率は千から二千パーセント。 1から1.5平方メートルの墓地が最低でも五、六千元。宅地でも1平方メートル あたり2700元ほどであるのにだ。 自動車運転学校はドライバー1人養成して上げる利益を業界関係者が試算した。 サンタナでの教習料金が2700百元として教員の給与、燃料、車輌の償却分を 差し引いても利益は千元を下らないだろうという。 2004年、電力業界は国家的災害である電力不足を口実に石炭業界に圧力をかけ、 国を脅し、電力価格を上げるよう迫り、暴利を上げた。2003年7月1日北京市は ケーブルTVの受信料を12元から18元に50%も引上げた。独占企業のケーブルTV は相次ぐ値上以外に収益を増やす術を知らないかのよう。 報道によると薬店では5元で仕入れた薬を9元で80%も利益を乗せて販売するというが、同じ薬を病院では46元80銭で売っている。かつて定価販売の薬店が期待されたが、 問題は薬の80%が病院の薬局を通じて患者に渡るという事実だ。 今年8月国家発展改革委員会は上半年の価格に関する告発において多かった六つ の問題を公表した。中でも教育に関するものは首位であった。 中国の出版業界は教材の専売と独占によって成り立つ。本の原価構成は、印刷費 と紙代が本の価格の23%から25%。つまり20元の本が印刷所から出る時は5元。作家の 報酬が8から10%で1元60銭から2元ほど、出版社の利益は10%、2元ほど。独占出版の 場合は5%、1元割増となる。残り45%から50%の10元は書店の利益だ。書店から大学の 教務課の関係者に30%のリベートを渡しても15から20%の利益だ。 2003年10月、フォーブス誌の「中国大陸富豪リスト」にオンラインゲーム大手、 盛大網絡のCEO、陳天橋氏が新星として第六位に登場した。ネットゲーム関連 機器の年間売上はゲームセンターの売上の2倍、40億元に達している。 (『市場報』2004年12月14日)


    


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