中国ウォッチング『善隣』2005年3月号(上松玲子訳)


南方の冬にも暖房を

天気予報に興味があれば気付くだろう。冬、南方の多くの地域でも 気温は摂氏16度以下になり、上海や浙江、江西、湖北などの揚子江 の中流、下流地域では気温が摂氏零度、または零下4、5度になる 期問が1ヶ月から2ケ月も続く。 北の冬は長く寒いが室内は暖房が完備されている。が、南方では太陽が 出ていても室内は寒く、とても座っていられない。北の人が冬に南に来 ると大抵寒さを訴える。 北方では毎年11月中旬から翌年3月中旬まで集中暖房が入る。しかし、 北方地区が何処の省までなのか、緯度で何度なのか、統一された見解 はない。秦嶺や准河を境とする考えもあれば、揚子江を、いや黄河をと いう考えもある。平均気温で考えるべきという人もいる。 現実問題としては多くの南方の人々が冬場辛い思いをしているのだ。 エアコンや電気ヒーターなど家庭用暖房用品は豊富だが、電力不足の中、 エネルギー効率も悪く、環境にもよくない。何より大して効果がない。 布団にくるまってテレビを見たり、ダウンコートを着込んで食事をしたり、 家の中で凍えている南方の人の暖房問題を真剣に考える時ではないだろうか。 そんな南方人の典型ともいえる武漢市民を取材した。武漢は計画経済の時代 に国家の暖房供給地域に入らず、予算が出なかった。北方と事情が違うのは、 比較的温暖なので、あまり裕福でない家庭では暖房を強く望む声が聞かれず、 国の援助が期待できない分、経費がかさむと予測されることだ。従って武漢で 市全域の集中暖房を望むような世論は当面期待できない、と退職教師の呉華さん は語った。 一方で暖房を望む人はこれから益々増えるだろうという声もある。 現状からみて、小規模の集合住宅では住民が電気エアコンか、天然ガス暖房か、 石炭暖房かを選び、集中暖房の設備を設置する一方、大規模な企業住宅等では 電力節約の観点から石炭の集中暖房を選択するのが現実的だ。だが、住民の中 に反対があれば実施は不可能なことと、外付けの配管が美観を損ねる等の環境問題 もある。新しい建物については集中暖房の設備を備えた住宅区を創り、支払能力の ある人から暖房生活を楽しんでもらえばよい。不動産開発業者や暖房設備関連業者 も積極的に取り組めば、規模の点でコストも抑えられ、環境にも影響が少ないだろう。 (『経済日報』2005年1月6日)


エイズ孤児に心残し

孤児院「関愛之家」を創設し、独力で53人のエイズ孤児を育てたことで社会 の注目を浴びた、河南省のエイズ感染者の朱進中さんは、1月13日38歳の 若さで死去した。 彼の故郷河南省柘城双廟村は違法な採血などでエイズの重大被災地になった。 三千人の村人のうち五百人が感染し、その多くが発病しこの世を去った。 2003年2月に彼は自宅でエイズ孤児院を始め、二人の実子と共に53人の 孤児を育てた。半年で千五百キロの小麦は底をつき、子供たちの学費も必要に なったため、朱さんは各方面に支援を求めた。翌年2004年、1月29日、 政府により「関愛之家」は閉められ、4人を残して県営の「陽光家園」に 子供たちは移された。 朱さんの家族によれば、昨年末に北京地壇病院で受診した際は安定していたが、 北京から帰郷した12月27日、大雪で車が入れず、家まで1キロの道を歩いて 帰った翌日、咳と39.5度の高熱が出て、県の病院に入院後、1月10日に 北京地壇病院に移ったが、その時にはすでに食事もできず、話すことも難しく なっていたという。何か予感があったのか、残った薬を同じ病の友人に譲り、 親族に残された4人の子供たちのことを頼む、亡くなった親のためにも勉強を 続けさせてくれるように、と一言い残した。 彼は政府の救済をただ待っているだけでなく、プラスティック加工工場を起こして、 エイズ感染者の働く場所を確保しようという構想も持っており、資金を借入れ、 設備も購入していた。操業開始を果たすことなく、彼は逝ってしまったのだ。 (『北京青年報』2005年1月16日)


故郷で会社を旗揚げ

他省で労働や商業活動に従事する湖北省出身者は550万人。その 内相当多くの人が資金をためている。彼らの資金を取込み、故郷での 創業を促進するために、各県とも「知り合い誘致」活動に力を入れて いる。 帰郷創業はすでにブームになっている。彼らは自己資金を携え、省内 外の資源を利用し、様々な産業を組み合わせ、特色ある産業を興している。 こうした回帰経済は地元経済に急速な発展をもたらしている。 山深い通山県でも帰郷者が次々と工場を建てている。331人が 帰郷創業し、300以上の経済実体が創設され、投資総額は2億8千万、 年間4億元の生産額を上げている。 出稼ぎ型経済の必然の帰結だと専門家はいう。中国人の故郷に対する 想いは強烈で、大多数が稼いで故郷に帰ろうと懸命に働いている。その 夢が実現段階に入ったのだ。 (『経済日報』2005年1月19日)


週休2日がなくなる?

国家発展改革委員会は最近の報告書の中で週休2日制の改革を提議した。 週休は1日にし、その分月末にまとめて四日問の小型連休を作ること、 旧正月の休みを延長する一方で5月1日のメーデーと10月1日国慶節 の連休を廃止するというものだ。理由は、大型連休により、観光業に は極端な閑散期と繁忙期が作り出され、観光資源が浪費されている。 さらには、繁忙期には観光地に過大な負担がかかり、大量の人出で自然や 文化遺産が破壊の危機にあるからだ。大型連休中は道路、鉄道、航空、 ホテル、商店なども満杯で価格が跳ね上り、人々の旅行に対する興味も 失せてしまうほどだ。 もし、毎年2回に集中する休みを毎月の小型連休に分散させれば、好きな時 に低価格で旅行でき、観光資源の保護にもなる。旧正月休みの延長は大衆の 習慣に適っている。 これは非公式な提案であり採用されるかどうかは、関係部門がこの問題に 関して共通の認識に立つかどうかにかかっていると国家発展改革委員会の 責任者は述べている。 大型連休廃止問題に関しては昨年11月に国務院から関係部門に検討が 課せられているという。 (『北京青年報』2005年1月22日)


無公害耕地はいかほど

上海には安全に農作物を育てられる土地がどのくらいあるのか。農産品質 認定センターを取材したところ、全市で228万ムー(15万ヘクタール)の 土地が無公害産地の認定を受けていることがわかった。 上海は全国に先駆けて無公害農産地の認定を2003年の下半期から始め、 対象地域の認定がほぼ終わっている。 調査は容易ではない。センターには70頁の厚さのファイルが100冊以上 積まれ、10の区、県の全ての村や農工商集団傘下の農場地の状況が細かく 書き込まれている。認定された238万ムーの農地は105鎮の1341の 行政村に及び、どの村も数十項目の審査を受けている。 関江区浦江鎮の資料を見ると、まず地図があり、鎮内50の村の位置や河川 の流れ、工業企業の分布が色分けで示されている。この地図に基づき耕地面積 や周辺企業や河川など各村の農業の基本的情報が細かく報告されている。 紙の上の審査では無論不十分で専門家の実地検査が行われている。周囲1キロ 以内に化学工場やメッキ工場など深刻な汚染源となる工場がないこと、食糧 や野莱、果物の産地の場合は幹線道路から百メートル以上離れていること、 生活ゴミや産廃の保管場所の有無、栽培技術記録を調べ、その場で採点し、 不合格の場合は改善を要求、追跡調査も行う。 さらに資格のある検査機関がより厳しい基準を定め、水、土壌、空気のサンプル を科学的に検証し、各種有害物質の濃度が基準を超えていないか分析している。 野莱生産拠点の検査項目は22項目以上で、10の灌概水基準、5つの大気基準、 7つの土壌基準がある。 このように何層もの篩(ふるい)にかけた後、疑わしい農地については、認証 センター検査部門がさらに細かく調べ、不合格となった場合は食用作物は栽培 が禁止されるという。 (『解放日報』2005年1月27日)


    


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