中国ウォッチング『善隣』2006年4月号(上松玲子訳)


操縦士の集団辞職に揺れる航空業界

昨年11月、東方航空の9名の機長が集団で辞表を提出し、業界を騒がせた。 2004年以来今日まで国内の三大航空会社では百名近くの操縦士が辞職して おり、その多くが機長である。今回の辞職について、中国民航管理幹部学院の ある教授は、市場環境と報酬の矛盾によるものと指摘する。多くの操縦士が 東方航空の旧来の行政職級制度を批判している。本制度では十数階層の職級 制度の中で操縦士や客室乗務員の職級が地上管理職よりも低く、基本給も低い。 操縦士が辞職を願い出ても航空会社は離したくはない。一人の操縦士を養成する のに200万元を要している。機長ともなれば600万から800万元である。 さらに毎年訓練費がかかる。個人の能力と企業の投資があっての操縦士免許 である。操縦士の辞職は会社の運営に影響するだけでなく、経済的な損失でも あり、多くの企業が辞職を認めず、高額の賠償金や違約金を要求している。 中国民航には1万1千人の操縦士がおり、8百数機を運行しているが、現在の 発展速度をみれば毎年1千人の操縦士を養成する必要があるが、追いついて いない。 操縦士不足に悩む航空会社の一部には外国人の操縦士の採用に踏み切っている。 深セン航空では既に40数名の外国籍の操縦士が操縦桿を握っている。主な出身 はアメリカ、ブラジル、イタリア、ロシアなどである。中国全体では百数名の 外国人操縦士がいるという。(『羊城晩報』2006年2月23日)


北京大学よりも香港大学

2005年に北京大学本科に合格した11名が、合格通知後に香港大学入学を 理由に入学を辞退したという。江蘇省常州市第一中学の陳君もその一人。香港 大学が彼を魅き付けた最大の要因は学生が独立性と自主性を持てることだ。また、 オックスフォードやケンブリッジ等世界の有名大学との交換学習制度も北京大学 や清華大学よりも充実していることも魅力だ。 崔さんは北京大学医学部予防医学部修士一貫制に合格したが、香港大学で財務と 会計を学ぶ道を選んだ。その理由について彼女は「違う教育環境を体験したい。 思考体系が固まっていない今だからこそ異文化の洗礼を受けたい。本科を卒業 してからでは考え方を変えるのは無理だと思う」と語った。 北京大学社会学部の夏教授は学校の格の問題ではなく、香港大学は英国の伝統的 教育方法を踏襲し、全て英語で講義を行っており、英語能力の向上には最適と語る。 その上で、一方、北京大学は文化も人材も伝統も厚く、学生は中国伝統文化の薫陶 を受けるだろう、学生は自分に合った自分の好きな専攻と大学を選べばよいと述べた。 (『北京青年報』2006年2月23日)


豊かさの陰の汚染

山西省の「煤老板」(石炭会社社長)といえば富豪の代名詞だ。煤老板の生活が 豪華になればなるほど山西省の多くの地域で環境が悪化していく。山西省霊石県 は石炭資源が豊富なことで知られる地域、町にはBMWやホンダ車が目立つ。 「しかし汚染は深刻、朝九時に太陽が見えればよい方だ」と県政府弁公室の南宏主任。 県の周囲はどこも黒ずんでいる。屋根も欄干も、車の屋根も道路の両脇も全て石炭 である。料金所の職員の手も煤けている。鉱区に向かう道沿いの村の作物も石炭を かぶっている。霊石県段純鎮志家庄村はもともと800ムー(約53ヘクタール)の 耕作地のうち700ムーを工業用地にとられ、残った100ムーもこれらの工場の 汚染のため耕作できないという。「葉が煤をかぶって育たない」と、村の出納役は いう。「汚染はひどいが、村の生活はよい方、村人も銭の種だから工場の撤退は 希望しない」と窓を開けると鼻を突く石炭臭を嫌いながらも、村人は言う。 鉱区では至る所で煤渣(石炭の焼却残渣)や石炭、黒い水が流れる河を目に する。ある40代の村人は孫や子がどんな生活を送ることになるのかと憂慮 している。(『新華毎日電訊』2006年2月25日)


契約労働を選ぶ熟練工

珠江デルタ地帯では企業に所属せずに働く人々が増えている。服装業界では工場 と期間雇用契約を結ぶ人々を「臨時工」と呼ぶが、あえて専業の「臨時工」を 選ぶ人々の出現により労働者は初めて選択権を得、企業も労働集約型から技術集約 型への変遷を余儀なくされていると専門家は見ている。 彼ら「臨時工」は熟練工で数年から十数年の経験を持ち、仕事は速く技術も高い。 敢えて一つの企業に留まらず、「臨時工頭」の手配によって各企業に出向いて仕事 をする。 労働者側からすると、臨時工のほうが給料は高く、自由な時間が持てる。彼らは 初めて選択権を得て、体調や気分で仕事ができ、さらに仕事が終わればすぐに給与 がもらえる。前の企業では職員が辞めないように三ヵ月も給与を出さないことも あった。 現在臨時工は東莞の服装加工業や電子機器製造業で活躍している。給与は工場 従業員の二倍で時給10元にもなる。そのうち7〜10%が「臨時工頭」に支払わ れるという。(『羊城晩報』2006年2月13日)


豊かになった実感は

数日前のニュースが北京市民の関心をさらった。北京市統計局、国家統計局北京調査 グループが昨年の北京市民のエンゲル係数が31.8%に下がったと発表した。個人 平均の月額消費支出は1万3244元で、調査グループの責任者は本結果をもって 北京市民の生活は「温飽型」(衣食が満ち足りた状態)から「富裕型」(余裕型)へ 上昇したと発表した。 しかし、多くの人がこのニュースに疑問をもっている。報道機関で働く周さんは 思う。この調査のとおりなら、一日の食費は11元50銭ということになるが、 北京で昼食に弁当を食べれば10元は消える。この程度が富裕なのか。  タクシー運転手の趙さんの息子が大学に上がった。大学に行かせるために衣食 を削って子供の学費を捻出してきた。北京師範大学経済学院の李実教授は言う。 現在北京での食品価格は低いが住宅や教育、医療に対する支出は相対的に高くなって おり、多くの家庭で衣食を削って子供の教育費に回しているので、エンゲル係数が 下がったからといって富裕であるとは言い難い。中国人民大学の王延教授は、英、 米、フランス、日本のように社会保障体系が充実している国ではエンゲル係数は 豊かさを表す指標になるが、我国の場合は社会文化や市民の対リスク能力、社会 保障制度など社会保障の基盤となる要素が不完全であり、単純にエンゲル係数で計る ことはできない、と分析している。(『市場報』2006年2月27日)


25年で8千人殉職

「公安民警は毎日殉職者がおり平和時には最も犠牲の多い職業である。」と公安部 スポークスマン武和平が先日記者会見で述べた。25年問全国で8232人が 殉職し、14万1312二人が負傷した。中でも1990年以降に6819人が 殉職、一日平均1.2人が命を落とし、負傷者数は12万783人で、一日平均 2.7人が傷ついていたことになる。2005年全国の公安民警で公務上の死傷者は 4548人で、死亡414名、負傷4134名であった。多くが第一線で働く警官 で、派出所警官、交通警官、刑事、治安警察の四職種が死傷者の75.5%、殉職者 の60.4%を占めている。殉職者の平均年齢は44.8歳と、若い警官の犠牲が 多い。(『光明日報』2006年2月24日)


    


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