中国ウォッチング『善隣』2006年12月号(上松玲子訳)


男児超過に歯止め  

女児百人に対する男児の出生数で表す出生性別比率は103から107が正常値と される。我国の出生性別比率は、2000年に実施された第五次人口調査では 116.86、2005年では118.58で、専門家の試算によれば今世紀の 三、四十年代までに、20歳から49歳の男性人口は女性を3千万人以上上回る だろうと言う。 男女比の不均衡は男性の結婚難を招き、婦女の誘拐や性犯罪の増加などが社会の 安定を揺るがすことが懸念される。国家人口計画委員会宣伝教育所の張健所長は、 「本来生産力たる青年男子が破壊力になる恐れがある」と述べた。人口問題は 二十年後の安全問題を孕んでいるのである。 2006年7月、国務院は「女児を大切にする」テレビ電話会議を開催、広範な 宣伝活動を行い、女児を大切にして男女比の不均衡問題を解決しようという世論 の形成を促すよう、各省や自治区、直轄市に対して要請した。 国務院は年末から、女児を大切にしようという活動の実施状況と、男女比不均衡の 抑制情況について各地で監督と調査を行う部門を新設した。国家人口計画委員会は 十年で問題解決に当たるという業務目標を策定、2010年までには男児超過の 抑制を図りたいとしている。 (『北京青年報』2006年10月14日)


地下五百メートルに散る母の愛

今年4月6日、湖南省底東塘炭鉱でガス爆発の犠牲者の最後一人の遺体が発見 された。遺体の女性は坑道の壁にもたれ、壁には彼女が指で刻んだ字「息子」 「勉強」の跡がわずかながら残っていた。 彼女は趙平妓、48歳。1993年夫が炭鉱事故で右手の指を三本失い地上勤務 に変わったため収入が激減、生活にも娘と息子の教育費にも困り、自分が坑道に 入ることを希望した。女性が坑道で働くことを禁止する規定は明文化されているが、 作業主任は彼女に作業服を支給した。 1996年に夫は坑道に復帰、妻に辞めるよう求めたが、妻は二人が月千元稼げば 子供を大学に上げられるとして応じなかった。1998年に中学を卒業した娘を 職業高校に進学させると、年間1万元の学費や生活費と中学生の息子のために、 趙さんは坑道で一番辛く危険な仕事、坑道の出口で巻き上げ機まで石炭を運ぶ仕事 を選んだ。出来高払いの仕事のため、腰も伸ばせない狭い坑道で少しでも多く運ぼう と懸命に働いた。 2005年秋、息子は優秀な成績で華中農業大学に合格、趙さんは本当に喜んで、 「しっかり勉強するんだよ。学費や生活費は私が準備するから。」と言ったという。 今年の春節後、この鉱区で良い石炭層が見つかった。この種の層はガスの濃度が高い が、利益を優先した事業主は労働時間を延長して生産を続けた。 4月6日の爆発事故では9人が犠牲となった。7日間に及ぶ不眠不休の救助活動 の末、最後に見つかった趙さんの遺体は片手で鼻を押さえ、片手は濡れた壁に かかつていた。其処に字が残されていたのだ。最後の瞬間にこのようにして夫や子供 に別れの言葉を残そうとしたことに救助に当たった人々も衝撃を受けた。知らせを 受け帰郷した娘と息子は母の枕元で号泣した。「母さん。私たちのことばかり 考えて、一日として楽をした日はなかったね。」 (『家庭週末報』2006年10月12日)

後記:この事故により安全対策に責任のある毛易鎮の副鎮長などが罷免され、国家 労働法にある女性の炭鉱内労働の禁止が再度通達された。鎮政府は犠牲者の遺族に 20万元の保障金を支払った。(『文摘報』2006年10月22日)


重陽の節句に何を贈るか  

重陽の節句(今年は10月30日)を控え、普段は仕事に忙しい子供たちも親孝行 をしている。中には父母を驚かせようと珍しい贈り物を用意する人達もいる。 上海宝山区に住む宝山製鉄に勤める顧さんは。家が遠いので滅多に父と出かけ ないが、今日は親孝行をしようと父親を健康診断に連れて行った。 会社員の李さんは、窓辺の席で黄浦江の両岸の夜景を眺めながら、高級レストラン の雰囲気を満喫してもらうため両親を金茂ビルの55階のレストランに招待した。 賈さん夫婦は70歳を越えた両親と海鮮レストランで会食。両親は始めてミル貝や サーモンの刺身、アワビ、石班魚を味わった。 上海のある旅行社の社長によれば、同社が募集した重陽の節句・蘇州登高日帰り ツアーは満席だそうで、三割は子供たちから父母へのプレゼントだという。(『解放 日報』2006年10月24日)


介護産業の未来は険しい

吉林省吉林市産婦人科医院に13年間併設されていた終末期介護施設が2ヶ月前に 閉鎖された。姚副院長は毎月4千元の赤字に病院は耐えられないと話した。 吉林省老齢委員会の周敬軍氏によれば吉林市には209箇所、8千数床の介護施設 が登録されているが、民間経営が多く、終末期介護の条件を満たすものは3分の1 以下という。また、資金や介護要員の不足は看護施設の質の向上や数の充実を妨げて いるという。 吉林市中心病院看護センターの韓滴主任によれば、臨時杜員の介護員の給与は 300元、二人で50歳から93歳の26人の老人の世話をする。このうち21人 が寝たきりだ。介護員は定着せず、1カ月足らずで変わる。 同主任は、老人介護事業について3つの課題あると語った。1つは伝統的な倫理 道徳観から抜け出し、介護を社会が担うべき仕事であることを受け入れること。 2つ目はサービスの向上。多くの介護施設には医師や看護婦が不足し、生活の介護 のみで精神的なケアが乏しい。3つ目は経済的支援の充実。患者の負担は十数元の ベッド料に治療費や薬代を含めて1日20元前後であり、これでは必要な介護や治療 を保障できない。 周氏によれば、北京や上海など大都市では各種優遇政策があり、入院率に応じ補助金 を出す地域もあるという。同氏は、介護事業が旧い世代を支える新しい産業となる べく、政府や各界が共同で問題解決にすべきと語った。 (『新文化報』2006年10月30日)


貧困地区の教師難

西北師範大学大学院生の常宝寧が中心となって行った西部貧困地区小中学教師意識 調査の結果、30.8%の教師は条件の良い仕事があれば転職を望んでいるという 結論が出た。「これは危険な信号です。」と常宝寧は憂慮する。 貧困地区の小中学校では教師不足のため、1人の教師が4年生の国語も5年生の数学 も3年生の英語も教え、音楽や美術も教える。1週間に20時限以上担当し、責任は 重く、待遇の低さが教師のやる気を低下させる。若く優秀な教師を西北の貧困地区に 呼びよせ、数と質を高め、定着を図るような政策を打ち出すよう常宝寧は政府に提案 している。 (『西部商報』2006年10月26日)


農村の留守児童対策

我国の農村には都会に働きに出た親に残された児童が2千万人にいるという。彼らは 教育、生活、心理、安全の面で一刻の猶予もない問題を抱えている。国務院はじめ、 全国婦女連合会など12の部門が共同で立ち上げた「農村留守児童問題専門作業 グループ」は四川、江西、安徽など人口流出の多い省に赴き、留守児童の生活の 現状、親や身元引受人の教育観念、行動が児童に与える影響について調査研究を 行い、その結果を踏まえて具体的な政策を制定する予定である。(『新京報』 2006年10月20日)


    


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