中国ウォッチング『善隣』2007年5月号(上松玲子訳)


高速道路をめぐる不正

高速道路一本の建設には最低でも数十億元の投資が必要となる。この金はどう使われる のだろう。3月26日に監査署が発布した。北京環状六号線、京珠道路など34路線に 対する監査公告で1662億元の投資の裏に、裏取引や賄賂、接待費や諸手当への流用 があり、土地を失った農民への補償に使われるはずの金が消えていることが明らかに なった。 公開入札されるべき工事が不正に分割発注され、本来資格のない建設チームや個人 事業者が下請け、孫請けし、結果、手抜き工事による欠陥道路も出てきている。新彊 崑崙路港工程公司など4社は安徽省蚌埠と明光を結ぶ高速道路の建設で、8497万元 の工事を36の資格に欠ける業者に分割発注し、1946万元もの管理費を得ていた。 2813万元が投じられた重慶市長寿から万州に至る高速道路の道路脇の緑化工事は 四度にわたり業者から業者へ下請けに出され、最初の請負価格の1平方メートル130 元が、最終請負価格42元になっていた。浙江省麗水から青田に至る高速道路のある 工事区では、資格に欠ける業者による下請け工事のため、119本のうち46の高架 橋脚に重大な欠陥が見つかった。 仲介を看板に業者に工事落札の手助けをして得た手数料が1374万元にも上る。 麗水、青田の道路では落札した中鉄20局3公司から「渉外担当」の民間業者が 6700万元分の工事の発注を請け、それを下請けに出し510万元の不正な利益を 上げていた。 監査された工事のうち、26件で交通主管部門および建設業者による建設資金の 他工事資金への流用や接待費や手当てへの流用が見られ、その金額は21億5800 万元にも上る。一方で土地を失った農民への補償金は滞り、雲南省元江から磨黒に 至る高速道路では2005年末に開通したにもかかわらず、いまだ2500万元の 土地接収の補償金が農民の手に渡っていないのである。現在までに81人が刑事 責任を問われ、党紀や政令により処分されている。(『新民晩報』2007年3月 27日)


散骨に政府補助金

清明節に上海では第101次および102次の海洋散骨儀式が長興島と横沙島の間の 海で行われ、400名の遺灰が大海に送られた。海への散骨を奨励するために上海市 では今年度より費用補助を、従来の200元から400元に引き上げた。「海葬」 (海への散骨)は土地を必要とせず、究極の土地節約葬である。このような方式は 生きている者の理性的な選択であると同時に故人への尊重でもある。「海と空、かく も広く平らかで母の懐のよう。故人を母の懐に返すのは最もよい方式です。」とある 遺族の言葉だ。海葬により遺族は悲しみから立ち直り感動を覚える。200元であろ うと400元であろうと金額の多寡に関係なく補助金は政府の遺族に対するねぎらい であり、政府の責任感を表すものだ。(『中国消費者報』2007年3月28日)


模範校を私塾とするな

義務教育の資源の分布が不均衡という現状の中、多くの特に大中都市の重点学校、 模範校の人気が過熱しており、入学定員をめぐり権力や金による争いが止まない。 北京の有名な模範小学校のいくつかは地区内の児童の入学に難しい条件を設けている ため、本来近くから通える児童が「殆ど普通に入学できない」状況であるという。 また学区外から入学を申請する児童の保護者はいろいろな伝手で紹介状を送ってくる という。某模範校では定員600名であるのに毎年入学決定時期になると1000通 以上の紹介状が寄せられるという。また、あるモデル校では寄せられた紹介状を一冊 のノートに記録してあるが、「紹介者の背景や注意書きにある所属名や官職名は人の 心を十分揺さぶるものだ。」という。義務教育の機会均等化の流れに逆らってはなら ない。公立の重点校や模範校が権勢者の私塾になっている現状は変えなければなら ない。公開と公平こそが最もよい腐敗を防ぐ薬ではなかろうか。(『北京青年報』 2007年3月28日)


汚職役人夫人の豪華な生活

一部の幹部の豪華な消費ぶりが注目を浴びる中、彼らの家族の衣食住の賛沢ぶりには 言葉をなくす。湖南省林(右にこざと篇)州市住宅積立金管理センターの主任だった 李樹彪の前妻は横領金隠匿の罪で拘留され、週一度銀行から提供された8000元 の使途を検察官にきかれ、「買い物よ。私が着る物はブランド品だけであなた方とは 違うわ。」と答えた・ 離婚後も二人は広州の豪華な一戸建てで生活、子供の送迎以外は、買い物、エステ、 マージャン、ネットチャットで過ごすという日々。2戸の住宅と高級車の外、毎月 2万元を与えられていたという。林(右にこざと篇)州市の副市長だった雷淵利の妻は レストランやホテルを開いてはたたむを繰り返し、その度に賄賂を得ていた。生活も 派手で最新の携帯電話を7台も持っていた。 雷淵利の愛人は子供が生まれると700万元の「ベビー生活基金」を設立。逮捕取 調べの結果2台の高級車のほか、8台の携帯電話、指輪、高級腕時計、貴金属など 170万元相当を身につけていた。湖南省人民法院の院長だった呉振漢は質素な 官舎で普通の生活をしていたが、妻は夫が高官になると変わった。同窓会で「高官の 奥様らしくない。服も買えないの?」と言われて、身なりにこだわるようになり、 1日に何度も着替え、週末には家事もせずに終日買い物に没頭したという。四川省 南充市高坪区の書記だった楊毓培の妻は公安局の一般職員ながら、洋服や化粧品に お金をかけた。1万は下らない毛皮のコートや何千元もする輸入化粧品。楊毓培が 妻の浪費を支持したのは、長年仕事ばかりで引っ越しや親の介護、子供の勉強など 全て妻任せにしたことへの埋め合わせという気持ちがある程度働いたという。また 多くの官僚が妻の父親の力を借りているため、妻を恐れている。また、若い愛人の 金品の要求を拒めないなどのケースもある。四川省社会科学院の胡光偉教授によれ ば、汚職役人の多くが女性がらみ、妻に満足させるだけのお金を渡し、その上若い 愛人に貢ぐ。このようなお金の出所は汚職や賄賂以外にないだろう、という。(『半 月談』2007年第4期4月8日)


不思議な債権者たち

浙江省義烏の大富豪呉英が拘留され、高額の資金を集めた「本色集団公司」の成功 神話は一夜で崩壊した。同時に債権者の名前も明らかになった。50万元以上の 債権者は137人、ほとんどが地元の役人である。中には1000万元以上の者も いた。 呉英が悪いのか、役人が悪いのか、不良商人の周りの金持ちや役人の多いこと。彼ら の金の出所はどこか。普通の暮らしが出来る程度の役人が一夜にして富を得る方法 などあるわけがない。経済の発達した義烏でも、科長以上の幹部の年収は10万元 以下である。党や政府の規定でも役人は体制内での株取引などの利益や宝くじなどの 配当を受けてはいけないことになっている。では彼らの金は天から降ってきたので あろうか。本色グループの崩壊は図らずも大勢の役人の「本色」を暴くことに なった。監督、審査、法の執行などの重い責任を負う役人が株を持ち、企業経営に 手を出し、商人と結託していることは幾つかの地方では公然の秘密である。地元の 事情通は「金の出所が公明正大なら、なぜ呉英が捕まった後、皆資金回収に押しかけ ないのだ。まるで、顔を出るのを恐れているようだ。」と語った。上級の検察機関 にはしっかり調べて彼らの金の出所を明らかにしてほしい。(『中国青年報』200 7年3月27日)


    


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