中国ウォッチング『善隣』2007年6月号(上松玲子訳)


ゴミに囲まれる都市

北京海淀区六里屯ゴミ焼却発電所が各方面の注目を浴びている。区の生活ゴミは 毎日2500トン余り排出される。北京は地勢的に西北地区が高く、東南地区が 低い。海淀区は北京の西北に位置し風上、水上にあたる。其処にゴミ焼却施設が 建設されれば、ダイオキシンなどの有害物質が付近の住民の健康を害する恐れが あるばかりか、全市への影響も軽視できない。 一方で北京全市の年間ゴミ排出量は500万トンで、郊外には種類も建築年数も 様々な50平方メートル以上の埋立て場が4000箇所余もあり、正にゴミに 囲まれた都市になっているのである。北京オリンピックの開催を控え、ゴミ処理 問題はどうなるのであろうか。 わが国は資源の再利用という点で先進国には大幅に遅れている。ゴミの総合利用 処理は今後のゴミ処理の方向として最有力である。 (『科学時報』2007年4月4日)


「労働者になりたくない」の心理

上海の4000世帯を対象に行った聞き取り調査によれば、労働者を志望する人は 僅か1%という結果がでた。就業先として人気が高いのは上から、政府機関、事業 単位(公共事業体、行政法人など)金融保険業だ。官僚本位の伝統的観念が根強い ことの表れという。 一般労働者の収入は低く、福利保障も不十分である。労働者になりたくない人が 多い現状は、労働者階級の社会的地位の低さを反映するだけでなく、そこに属する 人々が未来に対する自信を持てず、現在の生活に満足していないことの証明であり、 生活不安が隠れていることは重視されるべきである。より良い生活を願っての労働者 離れであり、「官僚本位思想」が深刻ということではないであろう。そこには利益 配分上の問題が存在し、給与や所得を上げて労働者の価値を上げることこそが問題 解決の根本ではないだろうか。 (『新民晩報』2007年4月10日)


農村の住宅購入を認めず

4月9日最高人民法院の黄松有副院長は全国民事審判工作座談会で現在の法律では 都市住民が農村に住宅用地や住宅を購入することを認めるか否か明確に規定したもの がないため、人民法院裁としては国家の政策に基づいては都市住民が農村の宅地や 住宅購入を求めた訴訟請求に対しては支持するべきではないと表明した。 最近、都市住民と農村住民が宅地や住宅の購入に関する契約を結び、農村住民が宅地 や住居を引渡さないため、都市住民が契約の履行を求めて訴訟を起こすケースが各地 にみられるが、地域の裁判所ごとに法律解釈に混乱が生じている。民法通則第6条の 規定するところでは、民事活動は法律を遵守すべきであり、法律に規定がないものに ついては国家政策に規定されているものは、政策に従って裁かれるべきで、裁判員 個人の解釈による自由裁量に基づくべきではないと黄松有は語っている。 (『法制日報』2007年4月10日)


十八億ムーの耕地は死守

国土資源部の最近の調査の結果、この20年間耕地が減り続けていることが明らか になった。温家宝総理は今年の政府工作報告の中で、土地問題において我々は取り 返しのつかない歴史的な間違いを犯してはならないと強調し同時に、最低ラインと して18億ムーの耕作地を死守すべきと述べた。国土資源部の関係者によれば耕地 面積の減少を招いた四大要素である建築用地の確保、災害、環境保護を目的とした 耕作地の森林化、農業構造の変化のうち、耕作地を森に戻す運動が耕作地の確保に 影響を及ぼす主要原因となっているという。耕作効率が低いことも事実だが、効率を 高める前向きな努力をすべきであって、耕作地を犠牲にすべきではないとも語る。 現在、地方政府は業績目標の達成と財政収入の増加を追求するあまり、投資促進の 意欲が強い。2006年、国務院の取締姿勢にかかわらず違法な土地利用は、なお 減らない。一部の地方政府は投資促進のために違法な土地利用を陰で支持、黙認 している。そうした現象は工業化に伴い段階的に西部へと移行しており、中西部 地区の中には東部のやり方をむやみに真似て、工業化のために耕地を犠牲にすること も厭わない所もある。中には開発業者に40、50平方キロといった広大な土地の 開発を委ねる地方政府もある。 この数年、全国的には新しい建設用地の5%から10%程度は違法な十地利用である が、中西部地区においてはそれが実に50%前後も占めるという。国土資源部の 責任者は、2007年は耕作地保護の責任目標の履行状況を検査し、土地管理と耕作 地保護についての責任制を厳格に実施すべきだと指摘している。 (『瞭望』2007年16期4月22日)


労働災害より貧困が怖い

2005年3月から湖南師範大学の学生10名が課外時間や休日を利用して炭鉱 労働者を対象にした社会調査を行った。2年問で湖南省の30数か所の炭鉱を 調査し、数百名の炭鉱労働者と対話をした。 この仕事は事故がつきものだが、長く働いていると何とも思わなくなる。ただ沢山 掘って沢山稼がなければと思うだけだ。湖南省「さんずい」+「豊」県赤峰炭鉱 の肖志海の言葉だ。大多数の炭鉱労働者が4人以上の家族を養い、毎日坑内で 7、8時間から10時問働く。それに加えて自宅で農作業に従事する者もいる。 ある契約労働者は仕事について12年目に3級の硅肺病で余命1年と診断された。 炭鉱主は1万元払って故郷に返し事を済まそうとした。実際多くの労働者が事故で 障害を受けても、なお炭鉱で生計をたてたいと願う。中でも最下層の農民炭鉱 労働者は毎月の給与はわずか1000元で、福利や保障もないが、それでも多くの 人々がその状況に満足している。 「お金と命どちらが大事か?」という問いに対する答えは実に簡単だ。調査をした 学生の一人曹渝は労働者とその家族は驚くほど命を軽んじ、家族の複数または全員 が炭鉱で同じような状況で働いているという。労働者の最年長は60歳で最年少者 は16歳であった。安全に対しても、事故は怖いが、「心配しても何になる。考え れば考えるほど気が重くなるだけだから、考えない。」という。 困窮と収入目的だけが理由でなく、多くの炭鉱労働者は職業技能が低く就業が難しい ため、単純な石炭掘り作業を選ばざるをえない。炭鉱労働者の62%が特別な職業 技能がなく、48%が他に仕事がないので炭鉱で働くという。「彼らは、危険より も貧困を恐れるのだ。」字が書けず給与の受け取りに拇印を押す労働者もいた。 石炭企業では所得の両極化が深刻であることに大学生は気づいた。個人の炭鉱主の 年収は数十万から百万以上であるのに対し、命の危険を賭して働く労働者の月収は 千元からニ千元の間である。寧郷県のある国有炭鉱の労働者、胡明が言うには掘った 量に応じ、車一杯15元、高品質炭で17元から25元、月平均千元と少し、良い 時で二千元という。曹らは調査報告書の中で、著しい収入格差が生産環境の悪化を 招いていると指摘する。より注目されるのは、権利保障の難しさだ。調査に応じた 労働者の72%が労働契約を結ばず、53%が時間外労働手当もなく、47%が社会 保険や労災保険に未加入、その89%を農民労働者が占める。第一線の労働者の87 %が農民労働者であるのに、彼らと正職員との待遇格差は非常に大きい。また、多く の企業が給与の隔月払いにより労働者を繋ぎとめている。 (『新民晩報』2007年4月16日)


    


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