中国ウォッチング『善隣』2007年12月号(上松玲子訳)


農民労働者の実態

先頃中国科学院が農民労働者の実態研究報告を発表した。農民労働者の平均教育年数 は8.7年、中学卒業以下が80.5%を占める。就業産業は製造業と建築業に集中、 両者で八割以上を占める。 近年農民労働者の給与は大幅に上昇した。本年年初の平均給与は月1,305元で、 2005年度の全国職員労働者平均給与の85.4%の水準に達した。 半数以上の農民が休日祝日に休む事ができない。平均労働日数は週平均6.5日、 一日平均労働時間は十時問であり、都市部の労働者の平均労働時間を遥かに上回る。 労働時間超過は当たり前のようになっている。多くの農民が製造業や建築業の中で、 きつく危険な労働に長時間携わり、健康を害している。四割が超過時問労働について 対価を支払われていないという。 多くの農民が農村を出て、都市の市民になりたいと願っているが、彼らが都市に溶け 込むにはなお大きな障害がある。 (『法制日報』2007年9月15日)


太原の古い団地をどうする

太原市興華南茘梅団地は1986年に建てられた。全20棟、2,029世帯、 五千人が暮らしている。近年下水道管が詰まったり、水道管が破損したり、井戸の 蓋が紛失したり、空き巣が入ったりで人々は社区(街の行政単位)の事務所に行くの も慣れたものだ。 社区の郭主任は、団地の配管類や道路は老朽化しているが、お金を出すところがない と語る。2005年には社区はなんとか資金を集め老朽化が著しい道路は補修した。 だが配管類は古いまま、頻繁に水漏れする。雨が降った時や、配管が詰まると漏れ 出した水は道路に溢れる。「我々社区九人の事務経費は月1,100元、通常の仕事 をするだけで精一杯で団地の維持までにはまわりません。」と郭さん。 東華園や杏花峰区半坡東街社区や平民路などの古い団地を取材してみると、いずれも 管理がきちんとされていない。 「古い団地の改造は難しい。投資が追いつかないというのが主な原因です。」と 太原市住宅局不動産管理署の責任者は語る。 現在山西省には300世帯以上の古い団地が469ヶ所もある。政府の指導の下、 如何にして市場経済に委ねながらも関係機関の協力を得てこうした団地を改造して いくかが、差し迫った問題になっている。 (『中国消費者報』2007年10月29日)


ネットで本を「聴く」

現代のようにテンポが速い、ストレス社会においては静かに読書をすることは賛沢な ことになった。最近ホワイトカラーに人気なのが、朗読の音声ファイルをインター ネット上や携帯オーデイオプレーヤーで楽しむというものだ。張さんはある企業の トップビジネスマン。忙しいが無類の本好きの彼は典型的な聴書愛好家だ。様々な サイトから朗読本をダウンロードするのが日課となっている。 ある音声ファイル提供サイトのデータによれば、そこを訪れる人の数は一日一万人 近いという。ロシアのプーチン大統領も聴書愛好家で歴史書や文学作品を移動中の 車の中で楽しんでいるという。 実際あるサイトでユーザー登録してみた。SF小説から探偵推理小説、詩、散文、 名作文学作品、童話、歴史評論、任侠もの、ネット小説など実に多様な分野がある。 ある愛好家によれば読み手の抑揚のつけ方や間のとり方なども芸術として楽しめる という。目への負担も軽く荷物にもならない。価格も安い。例えば海岩の『玉観音』 は9元で楽しめる。本ならば22元もするのである。 (『北京晩報』2007年10月29日)


孫おばさんの幸せな生活

最高の幸せが10点で不幸せが0点だとすると、ご自分の幸せ度は何点?の問いに 上海の孫さんは8点から9点と答えた。復旦大学ゲーム理論と数量経済研究センター が上海市の808人を対象に行ったサンプル調査に基づき「上海市民幸福度 調査報告」をまとめた。 国有企業を退職した孫さんは二人の老人と夫と娘の世話が日々の仕事である。改革 解放政策から30年、上海は大きな変化を遂げ、彼女の幸福感も常に変化している。 最も大きな変化は家だ。80年代初めは三代が14平米の家に同居していた。 1990年に職場で住宅分配が始まり、60平米になった。2000年には百平米 の新築住宅に引っ越した。単価も一平米3,000元から1万2千元になった。 孫さんはまずまずの生活と感じる。 市民の幸福感について経済学はより高い関心を示しつつある。以前は国民総生産が 豊かさを測る尺度であったが、今は幸福度が重視されていると調査責任者の謝教授。 収入と幸福感の関わりはどうか。世帯収入が1,500元以下の幸福度の平均は 6.35であるのに対し、1,500元から2,999元の世帯では7.16、 3,000元以上5,000元未満が7.31、5千元以上8千元未満が7.32、 8千元以上一万二千元未満が7.14、一万二千元以上二万元未満が7.57、二万 元以上が7.47となっている。高収入になるほど幸福度は上がるが、二万元を 超えると下降する。「収入の低い群の満足度が低いのは生活条件が悪いからで、 八千元以上一万二千元未満のポイントの低さはホワイトカラーの仕事上のストレスの 強さを表している」と謝教授。 孫さんの収入も変わった。70年代末は世帯の月収は60元ほどだった。少しずつ 増え1990年を超えると途端に千元以上になった。その後上げ幅は縮まり現在は 二干元になかなか届かない状態が続いている。一方で収入に占める給与の割合は 減り続け、投資の配当が給与を上回るようになった。1992年に株式投資を始めて から1995年までに五千元ほどつぎ込んだ。遊びのつもりで始めたが、この金が 今は二十万元になった。「私の投資理念は他の人と違う。私は同じ株を長く持つこと にしている。」医療保険も幸福感の鍵である。孫さんにとって医療保障の問題が唯一 幸福感の脚を引っ張った要素だ。計画経済の時期、医療費全額保障された孫さんに とって、今の医療支出は「家に大病する人がでたら忽ち困った事になる」と感じら れる。今回の上海市民の調査対象者のうちで医療や社会保障制度に満足している者が 6.3%、まあまあ満足しているが30%、あまり満足していないが21.4%、 不満であるが13.1%であった。医療保障問題や環境汚染問題はいずれも満足度が 低い領域で、こうした調査を通じ、社会の急速な発展の中で見過ごされていた問題が 明らかになった。 (『第一財経日報』2007年10月24日)


安売りで将棋倒し

11月10日重慶市のカルフールで食用油の安売りに人々が殺到して将棋倒しに なり、3人死亡、31人が負傷する事故が起きた。負傷者のうち7人は重傷という。 10元の値引きのために3人の命が失われたという大惨事だ。しかし、10元のため にあんなにも大勢が開店4時間前の朝4時過ぎから並ぶとは誰が想像しただろう。 販促活動が悪いのではない。まして僅かなお得感のために並ぶ人々の気持ちも解る。 しかし、問いたいのは何故こんな結末になったのかだ。店側はもっと周到な安全対策 を考えられなかったのか。近年わが国では生産現場での安全がより重視されるように なってきた。しかし、人が密集するような場所に関する安全規則はもうけられていな い。今回のような混乱と悲劇を踏まえて、人々が密集する場所に関するきちんとした 法律、規則を定め、監督の強化や責任の明確化、規範となる手順を定めるなどに 努めるべきだ。それは一方で、社会の安全に対する意識を高めることにも役立つで あろう。(『新京報』2007年11月10日)


    


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