中国ウォッチング『善隣』2008年7月号(上松玲子訳)


震災で羌族文化の危機

四川大震災で大きな被害を受けた文(さんずい)川、茂県、北川、理県は羌族が 集中する地域で、わが国の羌族のほとんどがここで生活しているともいえる。 長年先族の歴史と文化を研究してきた四川省都市計画設計研究院の陳教授はこう 述べた。1990年の全国人口調査で羌族人口は19万8,252人。殷代の 甲骨文字にも記載がある左羌人の一派の流れをくむのが今日の羌族だ。 「羌族は豊かな文化を持ち、民族固有の祝日や祭礼を有し、独白の食物文化が ある」という。酒は「日麦希」というハダカムギで作る酒。建築様式も独特で 家々がつながった迷宮のような村が山間の水辺に存在する。波川の羅卜寨は 古代の羌王の都で五千年以上の風雨に耐えた世界最古の黄土建築の村であった。 (地震で消失:訳者註) 大地震は羌族の文化も破壊してしまった。羌族は独自の文字をもたず、文化は 口頭で伝承されてきた。震災で難を逃れた羌族の老人たちを保護し、彼らの 民族的風習や生活様式を記録あるいは復元しなければ、我々は貴重な文化遺産を 失うことになるだろう。(『中国経済導報』2008年5月27日)


橋は誰が守る

5月2日の午前3時過ぎ、南京長江大橋の南アプローチ橋の下で火災が発生、 4時14分に鎮火した。死傷者はなかったものの、この火災で南アプローチの 橋梁構造は大きな被害を受け、修復には2ヶ月以上かかることになった。市の 消防局によれば、橋の下の露店から出火、周囲の露店に燃え広がり、500平方 メートルが焼失したという。失火原因と被害額は調査中ということだ。南京長江 大橋は1968年に開通して以来40年にもなる。火災のあったあたりは、洋服 や家電、茣蓙、果物、乾物などを安く売る商店が軒をつらねる小商品市場として 賑わっていたという。南京鉄路分局南京長江大橋管理所橋梁施工部門長の金輝氏 によれば、橋のふもとは鉄路部門の管轄であるが、慣習として地方政府が管理 しており、度々整理改革が求められておりながらうやむやになっていたのだと いう。毎月市の定めた管理人や工商部門や税務部門の人が来て集金していた、と 安徽省出身の商店主。住宅密集地に近いこの場所は鉄路部門と現地政府が土地の 所有権をめぐって争っており、話し合いもまとまらず商店も取り締まられて いなかったというのだ。(『新華毎日電訊』2008年6月4日)


エコ袋は本当にエコか

レジ袋禁止令が発効して、深川(つちへん)の大型スーパーでのレジ袋の使用 量は減り、様々なエコ袋「環保袋」が登場した。本当に環境保護に役立っている のか市民を取材した。ある包装材料店で売られる不織布の買い物バッグ。 ライターで燃やしてみると黒煙とともに鼻につく匂いが立ち上る。大型店も 「環保袋」を配らなくなった。会社が販促用に配る買い物袋はどれも品質が 悪く、重いものをいれるとすぐ持ち手がとれるという。布のバッグは汚れやすい し、只のものは惜しくないから一回か二回で捨ててしまうという意見もある。 ある調査によれば、80%の市民が「環保袋」が本当に環境に優しいのか、 食品が汚染されていないかについて疑問をもっているという。深川瑞尓環境保護 技術有限公司の路天雲理事長は「価格競争の中質の悪いエコ袋の生産が促進され ている」と語る。環境科学研究所の尹魁浩博士は、エコ袋は従来のレジ袋よりも 一枚あたりの環境負荷が高いため、環境保護の効果が上がるためには強度を あげ、買い物に適した大きさにすることで、繰り返し使ってもらうように しなければならないと主張、規定や基準の制定を求めている。 (『深川商報』2008年6月5日)


子供たちをよく眠らせろ

昨年4月全国人民代表人会の委託を受けて、遼寧省人民代表大会は全省で『義務 教育法』の執行状況調査を行った。これを契機に子供の早起き問題について調査研究 を行った全国人民代表の張桂平は小学生の十分の一、中学生の三分の一が睡眠不足に より健康被害を受けていることを発見した。専門家によれば、睡眠不足で長期に わたり不健康な状態にあると、体力の回復や発育を妨げられ、うつ病や精神分裂など も発症しやすいという。勉強嫌いや成績不振にもつながる。少年期の睡眠不足と 不規則な生活は成人後のうつ病や分裂症の誘因にもなり、学齢期に適切な睡眠習慣 を確立することは、一生の宝を得ることになるという。そこで張桂平代表は教育部門 に、小中学生の始業時間が早すぎ、睡眠不足が生徒の健康を害しているとして改善策 を求めた。これを受けて藩陽市の教育局は専門研究グループを作り、学校、学級、 家庭それぞれの声をまとめた。昨年4月6日に藩陽市教育局が7時40分以前の登校 を禁じる規定を設けて以来一年、生徒が真面目に授業を聞くようになった、居眠りが 減ったと多くの教師が感じている。これが手本となり、昨年国務院は『青少年の体育 強化、体質向上に関する意見』を発布、この中で小学生は10時問、中学生は 9時間、高校生は8時問を基準とする青少年の睡眠時間の確保を明確に要請して いる。(『光明日報』2008年5月12日)


信陽市の禁酒令

河南省信陽市は2007年1月1日発布の規定で同市の党委員会や市政府の幹部に 5つの行為を禁止した。その一つが勤務日の昼食時の飲酒。故意の違反は即時免職 という罰則規定もある。3つの監督グループが組織され、即時処罰と情報公開の権限 が与えられた。信陽が発信源になり5月には河南省商丘市で、その後、累 (さんずい)河市、南陽、許昌、駐馬店など類似の禁酒令は全省に広がった。午後の 担当者不在や酒気帯び勤務がなくなったと市民にも好評だ。信陽での酒の販売量が 3分の2に落ち込んだ酒造業者が禁酒令は違法だと言い出した。これも公務員が酒造 企業にとって大口消費者だったからだ。河南省酒造業協会から「禁酒令」の合法性 について検証を委託された亢銀忠弁護士は、「禁酒令」は違法だ、昼食時の飲酒は 私的行為であり仕事に影響ない限り公的権力は干渉できないと主張。さらに市は 「禁酒令」発布にあたり、人口納税者であり地域経済を支える酒造業者の意見を 考慮すべきであったと主張した。とりわけ信陽で「禁酒令」がきちんと執行されて いるのは専門の監督チームがあるからだけでなく、トップの並々ならぬ決意がある からだという。今日まで信陽市では5つの禁止令と10の不許可事項を破ったとして 444件が審査され164人が処分されている。市の王鉄書記はこう語る。公務員 は一般人とは異なる。勤務時間外のことでも求められて当たり前。「禁酒令」は特定 の人々に対し特定の時間に限った禁令であり、どの角度から見ても問題はない、と。 北京大学法学院の姜明安教授は、河南省酒造業協会が弁護士に委託して「禁酒令」に 異を唱えたこと自体は、法治国家の意識の芽生えと評価し、不利益を当然の行為と しながらも、「禁酒令」そのものは法治の精神にかなったものと主張する。「公務員 法」にある公務員の義務に照らしても、昼食時の飲酒が勤務に影響する可能性がある 以上、その行為は義務違反だというのである。インターネット上にも、飲酒後の勤務 は酒気帯び運転と大差ないという意見もある。酒造業界の中にも、禁酒令にこだわら ず別に販路拡大の策を求める方が長い目で見れば企業の発展に繋がるのではという声 もある。(『法制と新聞』2008年5月18日)


    


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